農林水産大臣賞など幾多の受賞を受け、全国的にも茶処と呼ばれるようになった掛川。今や世界的にもgreentea hukamushiこれらの言葉はスタンダード化しているといっても過言ではないでしょう。
2013年、静岡の茶草場は世界農業遺産に認定されました。
日本各地へ、世界中へ広がった掛川茶の原点、掛川の茶畑の原風景は地元の人にはあまりに見慣れた景色で、世界農業遺産に認定されたニュースを実は驚きと共に受け止めた方も少なくありません。
そんな当たり前のように受けつがれてきた静岡の茶畑の風景は、茶草場と共にあり、茶農家の方々の手間ひまによって美味なる茶葉を育むのはもちろん、動植物を保全し、循環型の農業生産スタイルが環境を守っている、自然の守り手であるのです。
世界農業遺産は「世界重要農業遺産システム」という正式名称で、農業のあり方が永年にわたって発達しながらも伝統的で、文化や生物の多様性・景観を守るにおいて世界的に重要な地域を、次の世代に受け継ぐことを目的として、世界各地の農業のシステムを評価しています。
中国のハニ族が守る棚田、ペルーのアンデス農業、インドのサフラン生産、日本ではトキと暮らす郷づくりがテーマの佐渡の農業など、世界では17ヵ国38地域、日本では8地域が認定されています。(2017年9月現在)
いずれも「社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形づくられてきた伝統的な農林水産業と、それに関わって育まれた文化、ランドスケープ、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システム」(農林水産省HPより)と位置づけられ高い評価を受けています。
静岡の茶草場は茶畑周辺に意図的に残された自然地で、茶草場から刈り取った草を束ねて、茶畑の畝の間に敷き、土壌の質や水分を保全・肥料として茶木を育む循環型自然農法です。
刈り取る草は主にススキやササで、秋から冬にかけて刈り取った草を束ねて干し、お茶の木の根元に覆う様に敷くのです。自然環境の中で乾いたこれらの草は土壌に還るのですが、畝の間を歩いたり、手にとって見ると土はふわふわとやわらかくほろほろと崩れて天然のベッドのよう。 こうした茶畑と同じ環境で育った草が肥料となって、肉厚の茶葉、香りのよい茶葉、うまみが詰まったおいしい茶葉を育んでいるのです。
同時に、茶草場や茶畑では脈々と命が育まれています。地の動植物はこうした化学の手を借りない農法環境によって守られ、絶滅の道を逃れているのです。また、こんもりとしたかわいらしい茶畑と草場や森、林が広がる里山の原風景を景観として保っています。
茶農家の方々は一年を通して茶木の手入れをし、よりよい茶葉の生産に努めていると同時に、茶畑周辺の自然地の整備や動植物の守り手でもあるわけです。
掛川茶の茶畑へ車で5分。茶葉の生育をお茶農家さんと見守り、深蒸し茶を誕生させたみのり園からお知らせです